チャットモンチー「完結」から考える、変化できる人と現状維持な人の違い

2018.07.09 (月)

今月での解散を発表している2人組ロックバンド・チャットモンチーは7月4日、日本武道館で最後のワンマンライブを開催しました。チャットモンチーとしての活動を「やり切った」と話す彼女たちは、次のステージに進むという前向きな気持ちをこめ「解散」ではなく「完結」という言葉を使いました。

 

かつてボーカル・ベース・ドラムの3人組だったこのバンドは、2011年にドラムの高橋さんが脱退してから様々に形を変えてきました。ベース福岡さんのドラムへの転向、サポートメンバーの加入、打ち込みやデジタル楽器を多用した「チャットモンチー・メカ」という新スタイル、そして「完結」。

 

今続けていることを変え、新しいものを取り入れるのは簡単ではありません。私はライフコーチという仕事で起業する方のサポートをしていますが、当然ですが会社を辞めて転職したり起業したりするクライアントにはいつも大きな不安や迷いが伴います。

 

変化を起こす必要があることを心の奥では分かっていても、無意識のうちに気付かないフリをしたり、真剣に向き合わなかったりして長いこと現状に留まっている場合も多くあります。

 

チャットモンチーはなぜこんなにも現状に変化を起こし続け、あっさりと次のステージに進むことができるのか?クライアントに変化を起こしてもらうのが仕事であるコーチとして分析し、変わっていける人と現状維持に留まり続ける人の違いはどこにあるのかについて考えました。

 

変化できる人の3つの特徴

 

1.感じていることを大事にする

 

チャットモンチーのインタビューで特に印象的な答えがあります。

 

『音楽の部分だけはずっと頑固だったからかもしれない。スタッフに「こうしたほうがいい」って言わても、メンバーとは、それこそ“こころとあたま”の歌詞のように、「頭ではわかっているけど、心でやりたいと思ってることではないかもしれないね」っていうようなことをよく話していた記憶はあります。(チャットモンチー、バンド消滅の危機もあった10年を振り返る 2015/05/13 CINRA.NET)』

 

多くの人は、「考えていること」と「感じていること」を一緒にしています。この違いを自覚することは重要です。

 

たとえば、私はコーチングセッション(クライアントとの1対1の対話)の中でクライアントに「今取り組んでいること」について話してもらうことがあります。

 

すると話しながらクライアントの表情は急に険しくなり、なんとも重苦しい空気が流れ始めます。そこで「○○さん、もし今なんでもやっていいと言われたら何がしたいですか?」と質問します。するとクライアントの表情は途端に明るくなり、次々といろんなプランを話し始めるのです。しばらく話すとまた表情が暗くなり、「でも…」と今話したプランを実行できない理由について話し始める…こういうパターンはよくあります。

 

おそらくこの方は「何でもやっていいと言われたら?」と質問されたときに話したことが、心でやりたいと思っていることなのでしょう。しかし、物理的・金銭的な制約やプライドなど「こうした方が得」というのを一瞬のうちに頭の中で計算して、心が反応しない選択をしているのです。これが頭で考えていることと心で感じていることの違いです。

 

チャットモンチーはあるインタビューで次のようにも答えています。

 

『今の私が、10代の頃に書いた歌詞を「懐かしいな」って言いながら歌うにはまだ早いし、「今の自分です」って歌うには遠いなあとか、そういう想いが浮かぶときもありました。歌う人って、絶対どの時代の曲でも歌えるもんだと思っていたんですけどね、ずっと。でも、歌によっては、そうじゃない部分もあるんやなって。(チャットモンチーに訊く「完結」の理由。そして今後の展望は? 2018/06/27 CINRA.NET)』

 

こういうちょっとした違和感を無視して続けることは簡単ですが、放っておくとその違和感はどんどん大きくなっていきます。心で感じることを「ささいなこと」と無視する人は、変化するべき初めのタイミングを見逃し、後になって方向転換に大きなエネルギーを使うことになります。

 

2.形にこだわらない

 

ドラムの高橋さんが脱退したとき、ベースの福岡さんがドラムに転向するというのはかなり破天荒な選択でした。「途中でベースがドラムに転向するなんてありえない」という常識は、音楽業界側だけでなく私たち聴く側にとっても当たり前と考えられています。どの業界にも、このような「この形が常識」という一定の形式があることと思います。

 

しかし、形式にあまりに固執すると取れる選択の幅を狭めてしまいます。たとえば、起業を考えていく場合には雇用形態や働き方も柔軟に考える必要があります。

 

今は週3以下での勤務や副業OKの会社、複数の仕事を並行するパラレルキャリア、会社と離れた場所で働くリモートワーク、ネットを介して細分化されたタスクを個人で請け負うクラウドソーシングなど働き方が多様化しています。「週5の正社員」という形に縛られすぎるとその分選択肢は狭まり、なかなか変化を起こしにくいかもしれません。

 

固定観念だけでなくときにはプライドが邪魔する場合もあります。「ある程度の年齢になってアルバイトなんてとんでもない」と考えていると、やはり選択肢は狭まっていきます。

 

やみくもに会社を辞めたらいいということではありませんが、形にこだわる必要はなく、「もっと自分に合った形はないか?」という視点で自由に考えることが、変化を起こすきっかけになることもあります。

 

3.核となる価値観が明確である

 

そうとはいえ、チャットモンチーも最初から形にこだわらないスタイルだったわけではなかったようです。それまでこだわってきた「3人でやる」という形がドラムの高橋さんの脱退によって崩れ、かえって「何がチャットモンチーか」を問わざるを得なかった状況がインタビューの中で語られています。(チャットモンチーは永遠の挑戦者?変わり続ける二人の核心を訊く 2017/04/07 CINRA.NET)

 

「チャットモンチーらしさとは何か」という問いは、バンドの核となる価値観を明確にすることです。これをはっきりさせることで、そこさえ押さえていればそれ以外はある程度自由に考えてもいいという安心感が生まれたと考えられます。

 

これは個人にも言えることです。「自分は人にどういう影響を与える存在なんだろう?」と問いかけてみると、自分の核となる役割が言語化されます。

 

たとえば、考えを整理させる、方向性を導く、精神的な癒しを与える、前向きな気持ちにさせる、自信を与える……など、自分なりの言葉で言い表してみてください。自分の役割を抽象度の高い言葉で自覚できていると、一見違うことを始めるように思えても、根っこの部分では変わらないということが理解でき、安心して前に進めることがあります。

 

まとめ

 

人間は年齢を重ねライフステージが変わるのにつれて、価値観も少しずつ変化していくのが自然です。現状に変化を起こすのには多くのエネルギーを使いますが、変わっていかない限り、現在の自分との違和感は大きくなるばかりでしょう。そうならないためには、チャットモンチーのようにそのときどきで自分の内面と向き合い、自由な発想で自分らしくいられる選択肢を発見していくことが求められるのではないでしょうか。

 

Open Heart Question
形にこだわらないとすれば、どんな選択肢が浮かびますか?

 

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オンワードミッション川崎 代表/ライフコーチワールド(R)認定ライフコーチ/人目気にしいさん専門起業コーチ 1989年福岡県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部(社会学)卒業後、一部上場の証券会社で営業を経験するも、長時間労働と成績不振で精神的に自分を追いつめ退職。当時の自分を救いたい一心で心理学を勉強するうちにコーチングと出会い、2017年にライフコーチとして起業。現在、スモールビジネス立ち上げ期の自信や覚悟を支えるパーソナルコーチとして活動。半年以上継続したクライアントには、現在全国を回る講演家や経営コンサル等がいる。メディア掲載実績:『PHPスペシャル』2018年4月号・特集「「気にしない」自分になれるヒント」にてインタビュー記事掲載。

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