40代男性がより自分らしく生きるのに必要な3つの勇気

2018.06.18 (月)

6月17日(日)は父の日。ご家族からねぎらいの言葉やプレゼントをもらったお父さんも多いことと思います。家族のためにますます仕事を頑張ろうと思う一方、家族に対する責任と会社での競争のプレッシャーに、多少の疲れや苦しさを感じている男性もいるのではないでしょうか。

 

私はふだん、世間の常識や他人の価値観に縛られ、理想の人生に向けてなかなか歩み出せない方にコーチングを提供しています。当初は過去の私と同じような女性のお客様が多いと想定していましたが、実際にはこれまでのクライアントの半数以上が男性でした。

 

さらにその多くが40~50代です。その年代に差し掛かり「人生、今のままでいいのか」と違和感を感じつつも、責任と競争という”男らしさ”の価値観に縛られ、周囲に弱さを見せられずに身動きがとれなくなっている男性は少なくないようです。

 

ライフコーチとして、見栄や競争に翻弄されやすい男性が40代以降の人生をより自分らしく生きるのに必要なことを考えたいと思います。

 

より自分らしく生きたい男性に必要な3つの勇気

現状を変えていくときには、不安やおそれが伴うのがほとんどです。ここでは特に男性が置かれている現状を踏まえ、現在の人生に対する違和感を感じ取り、不安やおそれを超えて変化を起こす行動をするのに必要な勇気を3つにまとめました。

 

1.弱音を吐く勇気

男性は人に弱音を吐いたり、相談したりするのが苦手な傾向があるようです。男性の生きづらさについて研究する男性学が専門の社会学者・田中俊之さんは次のように言います。

 

『男性の多くは人に弱みを見せようとしません。これを男のプライドだという人がいますが、僕はそうではなくて、ただの見栄だと思うんです。プライドは、自分にとってこれだけは譲れないという部分ですから、他者を気にする必要はありませんが、見栄が入るとどうしても人と比べてしまう。人より弱い自分を見せたくない、自分を少しでも強く見せたいという気持ちが邪魔をするので、苦しいときに弱音を吐いたり、相談したりできないんです。(「男が働かなくてもいいって本当? 田中俊之さんに聞いてみた」2016/04/18、ハフィントンポスト)』

 

周囲の人に相談できずに抱え込んでしまう切実さは、自殺率にも表れています。厚生労働省と警察庁の調査によると、平成29年の自殺者数は全体で21,321人、うち男性が14,826人で実に69.5%を占めています(「平成29年中における自殺の状況」2018/03/16、厚生労働省、警察庁)。周囲に弱さを見せられずに悩みを抱え込んでしまう状況がうかがい知れます。

 

では弱さを見せられないことは、自分らしく生きることにどう影響するのでしょうか。

 

社会的な成功や責任という外から与えられる価値観に違和感を抱え、苦しいと誰にも相談できずに自分を無理やり納得させ続けていると、自分の本心はどんどん見えにくくなっていきます。

 

自分にとって本当に大事な価値観が何なのかは、究極のところ自分にしか分かりません。本音を押し込めている限り、自分は何によって満たされるのかに気付くことができません。

 

また、周囲の人に自分の人生をどうしたいのかを知っておいてもらうことは重要です。その方向に向かうように、自然と援助してもらいやすくなるからです。弱音や本心をさらけ出せないと、人に自分の希望を知ってもらう機会を逸してしまいます。

 

弱音を吐けるようになるためにまずできることは、完璧であろうとしている自分を自覚することです。そして、完璧でない自分を隠そうとしたり、完璧なフリをしようとしている自分を意識して一日を過ごしてみましょう。ひとたび意識すると、一日のうちに何度も、完璧なフリをする自分に気付くかもしれません。

 

2.競争を降りる勇気

男性にとって競争の価値観は心に染み付いています。前述の田中さんは、競争から降りられない男性の状況を次のように言っています。

 

『過労死の問題でも、家のローンがあるから仕事を辞められないというような現実的な理由の他に、男性本人の“競争から降りられない”という強迫観念もあるのではないかと思います。小さい頃から親にそう刷りこまれ、社会や企業からも競い合うことを求められてきた。いまやその企業自体が激しい生き残り競争にさらされているときに、「僕、もう降ります」といって、誰がそれを認めてくれるのかという話です。(「「男性学」が読み解く「働く男のしんどさ」とは?働き方の変革は、企業にとっての「リスクヘッジ」」2014/08/25 日本の人事部)』

 

しかし、仕事さえ頑張っていれば社会から承認されていた時代は変わってきています。「イクメン」の流行など、仕事にしか関心のない男性は評価されなくなってきています。また「人生100年時代」と言われるなかで、会社での仕事が人生に占める存在感は薄れつつあります。

 

そうした価値観の変化の影響を受け、これまでのあり方に違和感を感じ始めてはいても、成功・競争といった従来の価値観を捨てることはとても怖いことです。40~50代であれば、折り返し地点で残りの人生を軌道修正したい。でも、見栄やこれまで築いてきたものでガチガチに固められた状況をどう変えていけばいいのか途方にくれてしまうといった男性の戸惑いがありそうです。

 

これまで持ってきた競争や強さという価値観は、現在の自分にとってどのように感じられているでしょうか。もしそこに苦しさを感じているのであれば、すでに必要としなくなった過去の価値観にがんじがらめになっている可能性があります。

 

3.安定した現状に変化を起こす勇気

仕事での地位や家族など、これまで築いてきたものが多ければ多いほど、それを取り巻く環境を変えていくのには大きな覚悟とエネルギーが必要となります。たとえば、これまでの会社人生を見直し、まったく違うことで起業しようすれば、まず奥さんや友人から「家族はどうするの?」と言われてしまうでしょう。

 

従来の価値観を手放し、コンフォートゾーン(安定はしているが新しい挑戦もない段階)を超える行動をするのには、ときには周囲とぶつかったり、一時的に孤独を感じたりすることがあるかもしれません。それでも少しずつでも行動する勇気が必要です。

 

ここでも、完璧であるフリをする必要はありません。私たち人間には次の権利があります。

 

「まちがう権利/途中でやめる権利/意見を変える権利/人をがっかりさせる権利/結果を中途半端なものにする権利」(『自己評価メソッドー自分とうまくつきあうための心理学』クリストフ・アンドレ著、紀伊国屋書店、2008、p296)。少し行動してみて、「やっぱり違った」となってもよいのです。

 

まとめ

長く保ってきた価値観を転換し、現状を変える行動をしていくのは時間がかかりますし、精神的にもきつい部分もあります。しかし、これから何十年も違和感を感じたまま生きていく辛さを考えれば、早いところ軌道修正に向けて動き出す必要がより感じられるのではないでしょうか。

 

 

Open Heart Queation
今日ひとつ弱音を吐くとしたら、何と言いたいですか?

 

【参考記事】
誰にとっても他人事でなかった日大アメフト部問題~集団と権力の下で自分を保てるか?

ハリル監督の失敗の本質は嫌われた事ではない

宇野昌磨選手に学ぶ3つのとらわれない心

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オンワードミッション川崎 代表/ライフコーチワールド(R)認定ライフコーチ/人目気にしいさん専門起業コーチ 1989年福岡県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部(社会学)卒業後、一部上場の証券会社で営業を経験するも、長時間労働と成績不振で精神的に自分を追いつめ退職。当時の自分を救いたい一心で心理学を勉強するうちにコーチングと出会い、2017年にライフコーチとして起業。現在、スモールビジネス立ち上げ期の自信や覚悟を支えるパーソナルコーチとして活動。半年以上継続したクライアントには、現在全国を回る講演家や経営コンサル等がいる。メディア掲載実績:『PHPスペシャル』2018年4月号・特集「「気にしない」自分になれるヒント」にてインタビュー記事掲載。

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