下馬評を覆した西野ジャパンの精神が起業家にも必要なワケ

サッカーワールドカップ・ロシア大会において、西野監督率いる西野ジャパンは2大会ぶりの1次リーグ突破、ベスト16による決勝トーナメント進出を果たしました。日本時間7月3日、決勝トーナメント初戦で敗れ惜しくもベスト8を達成することはできませんでしたが、強豪のベルギー相手に素晴らしい戦いをした西野ジャパンの姿は、日本中に感動を届けました。
ただ、今大会で日本代表は最初から日本中の追い風を受けていたわけではありませんでした。大会が始まるたった2ヶ月前、前監督のハリルホジッチ氏が電撃解任され、西野ジャパンは急ごしらえで発足しました。大会前のガーナ・スイスとの親善試合で負けを喫したことで世間からの風当たりは強く、ベテラン選手中心での召集にも「おっさんジャパン」「忖度ジャパン」と批判や揶揄が集まりました。そんな下馬評を覆し、西野ジャパンはベスト16という結果と感動を届けたのです。
批判や揶揄といった周囲からの否定的な評判にも動じずに、淡々と結果を出す力。これはビジネスにおいても重要な能力です。特に、起業など前例のないことに挑戦する際には、最初のうち周囲の理解や協力が得られずに孤軍奮闘する時期があることでしょう。そのときいかに心を折ることなく、粘り強く取り組めるかは成否の大きな鍵を握っているといえます。
私は普段、スモールビジネス立ち上げ期の自信や覚悟を支えるパーソナルコーチをやっています。急遽立ち上がった”新規事業”西野ジャパンは、なぜ批判を受けながらも結果を出すことができたのか。その理由をコーチの視点から紐解き、新しいものを世に送り出すときの心構えとして考えてみたいと思います。
弱いという自覚に裏打ちされた強い選択
「下手だと認めよう!!」6月8日(日本時間9日)に行われたスイスとの親善試合前の練習で、長友選手はチームにそう呼びかけたそうです
『(4年前の)ブラジル大会は理想ばかりを追い求め、W杯で結果を出せなかった。理想ばかりでは勝てない。自分たちは下手で、強くないことを認めた上で、自分たちにできるサッカーをやるしかない(おっさんジャパンは「下手で強くない」長友“弱者の自覚”促し南ア大会の躍進再び! SANSPO.COM 2018/06/07)』長友選手はこう話したと言います。
「おっさんジャパン」と揶揄され、大会前の試合に負けていた西野ジャパンは、理想どおりでない、かっこよくない自分たちの現実をこの段階でかなり受け入れていたように思われます。
自分たちの弱さを受け入れる態度は、6月28日のポーランド戦でのあの判断にも表れています。0-1と負けている状況でボールキープし時間を稼ぎ、他会場での試合状況にグループリーグ通過を委ねました。狙い通りトーナメント進出は果たしたものの、「他力本願」と批判された経緯は周知のとおりです。
もちろん監督も選手たちも、果敢に攻めておもしろい試合、かっこいい試合を見せたかった気持ちは山々でしょう。ただそれまでの試合運びや自分たちの実力を自覚し、客観的な判断をした結果、最高に理想的な選択はとれなかっただけの話、つまりいわゆる「妥協」です。
そもそも「無難」「おっさんジャパン」と揶揄された代表メンバーの人選も、急な監督交代で実質10日ほどしか選手を見る時間がなく、ベテランで固めざるを得なかった西野監督の苦渋の決断だったと指摘されています。(無難な人選は仕方ない? 西野ジャパンに“おっさんジャパン”の声も AERAdot. 2018/06/07)
私たちの日常においても、妥協という選択をとる場面は無数にあります。たとえば、最高の理想では海外に住みたいと思っていても、東京で働く現状では東京に住むことを選択する場合。現状を受け入れて主体的に選択することは、なんら悪いことではありません。むしろ、「私には本当は海外に住める実力があるはずなのに、なぜ東京に住まねばならないんだ!」と、現状を受け入れられずに不満を募らせることの方が問題です。
自分のなかで十分に納得できているか?
そうとはいえ、4万2000人を超える観客から大ブーイングを受けながら、ボール回し作戦を粛々と実行するのは並大抵の精神力ではありません。ブレない理由は、「グループリーグを突破する」という目標がチーム内で明確に共有されていたからです。そして、現状の自分たちの実力を過大に評価することなく、受け入れ納得しているからこそ、迷いなくその戦略に身を委ねることができるのです。
周囲からの批判や揶揄に振り回されるときというのは、目的が明確になっていないか、自分の実力を過大あるいは過小に評価し、現状を受け入れられていないときです。つまり、自分の中での納得が十分ではないのです。
無数にある選択は、どれが絶対的な正解ということはありません。だからこそ、評価軸がブレている状態では、どれも正解でどれも不正解のように見えてしまいます。結果、ちょっとした人の意見に左右され、不安で先延ばしにしたりあきらめたりすることになります。
実現していない未開拓の領域については特に、人からの評価が妥当とは限りません。批判や揶揄を受けること自体は特に気にすることではないのです。本当に気をつけなければならないのは、それによって決断と行動が鈍ってしまうことです。
物事は頭の中で考えているだけでは実現しません。成否はアイデア自体に存在するというよりも、いかに決断し、具体的な行動を続けていけるかにかかっています。
まとめ
西野ジャパンが批判の中でも結果を出せた秘訣は、自分たちの現状と目的をしっかりと見据えることができていたからといえます。
新しいものを世に送り出すのは孤独で根気の要る活動です。最初の結果が出るまでに人から批判や揶揄を受けることも多くあります。その時期を乗り越えるには、今の自分の実力・かっこ悪さを自覚し現状を受け入れ、自分のなかで目的を常にはっきりさせておくことが重要です。
そうすれば、批判の中でも淡々と行動を続けることができ、やがて結果につながるでしょうし、たとえ思い通りの結果が得られなくとも、後悔なく次に進むことができるはずです。
Open Heart Question
いま選択している妥協にはどんなものがありますか?
【関連記事】
■ハリル監督の失敗の本質は嫌われた事ではない
■宇野昌磨選手に学ぶ3つのとらわれない心
■誰にとっても他人事でなかった日大アメフト部問題~集団と権力の下で自分を保てるか?
■40代男性がより自分らしく生きるのに必要な3つの勇気
■朝ドラ「半分、青い。」の律のように、本心はうっかりミスに表れる。
体験セッション
スモールビジネス立ち上げ期の自信や覚悟を支えるパーソナルコーチングを提供しています。まずはコーチングについての説明も含めた体験セッションをどうぞ。
料金 90分5,000円
電話またはスカイプ(電話の場合の通話料はお客様のご負担いただきます)
ご希望の方には追加料金なしで対面もご選択いただけます(原則として神田馬喰町のサロンにて)。
※その後、継続コーチングをお申込みの方には契約料から5,000円引きさせていただきます。
▼お申し込みはコチラのフォームよりご入力ください。
メールマガジン「人目気にしいさんラボ~自分の本音に気付くメルマガ」(無料)
つい自分を我慢させてしまう人目気にしいさんが、自分の本心に気付くきっかけになるような日々の気付きや学びをメールマガジンでお届けします。
最新記事 by 人目気にしいさん専門起業コーチ 鶴澤 翔子 (全て見る)
- 【メディア掲載】政治経済メディアのJBプレスで「聞く技術」について執筆しました。 - 2019-02-06
- 【メディア掲載】政治経済メディアのJB press(日本ビジネスプレス)に執筆した記事が掲載されました。 - 2018-11-26
- チャットモンチー「完結」から考える、変化できる人と現状維持な人の違い - 2018-07-09
関連する投稿
- チャットモンチー「完結」から考える、変化できる人と現状維持な人の違い
- 有働アナの様に夢に踏み出せる人であるには
- 2年半前の夢が叶うのに自信は関係なかった
- 宇野昌磨選手に学ぶ3つのとらわれない心
- お金や時間に見合うか?新しいチャレンジを迷うときに見落としがちな「目に見えない」メリット
現在の記事: 下馬評を覆した西野ジャパンの精神が起業家にも必要なワケ