「走りながら考える」の本当の意味
よく、「仕事ができる人は走りながら考えるものだ」と言いますよね?
私も、新卒で証券会社に入社したとき、
「1分1秒無駄にしてはいけない」
「走りながら考えるように」と先輩から教わりました。
特にスピード重視な証券業界のカルチャーもあるかもしれません。
じっくり座って考え事をしていることはほとんど許されませんでした。
そのときは、
「そうだよな、計画ばかり立てていても仕方がない。先輩たちみたいにキビキビたくさん動く人が優秀な人だ。」
と理解しました。
そして、文字通り1分1秒無駄にしないようにと、
計画の時間より、なるべく外に出よう。
休憩している暇があったら1本でも多く営業の電話をかけよう。
そう考えていました。
走りながら考える。
一般的にこの言葉は、「ある程度計画したら実際に動いてみて、修正しながら実行する」という意味で使われます。
これによって、より短期間で精度の高い仕事ができる。
実は、昔はこの意味は違っていたようです。
きちんと計画を立てないで行き当たりばったりに行動するというネガティブな意味があったようなのです。
私の推測ですが、おそらくIT化が進み、スピードが重視されるようになるにつれて、「やりながら修正する」というアプローチが有効だと認識されるようになったのだと思います。
しかし、今の時代にはこの言葉の意味をさらに捉え直す必要があると私は感じます。
スピードが重視されたこれまでの時代には、生産性の高さがよしとされました。
短い時間でたくさんのものを生み出すのが良い人材、という風に。
だけど、昨今AIだとかロボットだとか騒がれるようになってからは、生産性の点では人間に勝ち目がないことが分かってきました。
どんなに速く、たくさん、精度の高い仕事をしても、ロボットのそれには敵わないのです。
だから、「イノベーション」が叫ばれるようになりました。
どれだけ深くて新しい成果を生み出せるかが問われるようになってきたのです。
そういう時代にあって、「走りながら考える」の意味はさらに変化してくるのではないかと。
つまり、短期間に精度の高い仕事をするというよりも、
より深くて新しいアイディアを生むために、まずは実際に動いてその材料を集めるという意味に捉えてはどうかなと。
私は、より深くて新しいアイディアを生むためには、何はともあれやってみることが一番だなと感じています。
やってみて得たものを使って、プランを修正するというよりは、元のプランに掛け合わせて、まったく新しいものを作る。
この意識がとても有効だと感じます。
行動して、得られた気づきを内省に活かし、どんどん考えを深めていく。
それこそが、今の時代の「走りながら考える」の本当の意味ではないでしょうか。
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